一人会社の役員報酬の決め方

2026 年 10 月 19 日(2026 年 10 月時点の制度で書いています)

法人成りしたばかりの一人会社では、役員報酬を「いつ」「いくら」に決めるかで、1 年の税金と社会保険料が大きく変わります。決める時期のルールと、金額で何が変わるかを、計算例で説明します。

いつ決めるか:事業年度の開始から 3 か月以内に、毎月同じ額

役員報酬は、会社の経費(損金)にできる形が法人税法で決まっています。いちばん使われるのが定期同額給与で、毎月(1 か月以下の一定の期間ごとに)同じ額を払うものです(法人税法 34 条 1 項 1 号)。

役員賞与を払うなら、事前確定届出給与として、決めた時期に決めた額を払う旨を、期限までに税務署へ届け出ます(法人税法 34 条 1 項 2 号)。期限は、株主総会などで決めた日から 1 か月を経過する日と、事業年度の開始の日から 4 か月を経過する日のうち早い日で、新しく設立した会社が設立のときに始まる職務について決める場合は、設立の日から 2 か月を経過する日です。

いくらにするか:会社の税金と、個人の税金・社会保険料の釣り合い

役員報酬を上げると、会社の利益が減るので法人税などは減ります。その代わり、役員個人の所得税・住民税と、会社と本人の両方が払う社会保険料が増えます。どちらが大きく動くかで、得になる金額が決まります。

つまり、会社の利益が小さいうちは、会社に残して法人税を払うほうが、報酬にして社会保険料と所得税を払うより負担が軽くなりやすく、利益が年 800 万円を超えて法人税の率が上がるあたりから、報酬を上げるほうが得になっていきます。

計算例

東京都の会社で、役員は 40 歳未満、配偶者・扶養なし、役員賞与なしとして、税金と社会保険料の合計がいちばん少なくなる月額を出しました。社会保険料は協会けんぽの令和 8 年度の料率です。「会社の利益」は、役員報酬とその社会保険料を払う前の年の利益です。

会社の利益いちばん負担の少ない月額役員の手取り(年)会社に残る利益(年)手取り+会社
600 万円9 万円93 万円361.3 万円454.4 万円
800 万円9 万円93 万円511.6 万円604.6 万円
1,200 万円28 万円270.3 万円614.4 万円884.7 万円
2,000 万円54 万円504.5 万円895.9 万円1,400.4 万円

利益が 1,200 万円の会社で、月額を変えたときの 1 年の内訳です。

月額社会保険料(本人+会社)所得税・住民税法人税等役員の手取り会社に残る利益手取り+会社
5 万円26.3 万円0 万円316.2 万円46.8 万円810.6 万円857.4 万円
28 万円(最適)95.4 万円18 万円202 万円270.3 万円614.4 万円884.7 万円
30 万円102.2 万円20 万円193.2 万円288.9 万円595.7 万円884.6 万円
50 万円170.3 万円46.5 万円125.1 万円468.3 万円389.8 万円858.1 万円

いちばん少ない月額の近くでは、差はわずかです(28 万円と 30 万円の差は年 0.1 万円)。いちばん少ない月額にこだわるより、その近くで、次のことも考えて決めるのが現実的です。

数字だけで決めないこと

実際の税額は、会社と役員の状況(ほかの所得、生命保険料・小規模企業共済などの控除、役員賞与の有無)で変わります。決める前に、税理士にご相談ください。

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参考にした資料

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計算例は、SoloDeck の役員報酬の最適化と同じ計算です(月額は 1 万円刻み。法人税等は中小法人の標準税率による概算、住民税の調整控除は省略)。前提はシミュレーターのページの「計算の前提」をご覧ください。